茶屋 夕顔。〈月花蜜の茶席〉

三島市の楽寿園で年に一度開催される、ARTSCRAFT静岡が主催するイベント『Village』。

4回目の今年も園内にある梅御殿にて夕顔さんによる『茶屋 夕顔』が開かれました。

茶屋では、第1回目は豆かんを提供し、第2回目では野菜を盛付けるワークショップを開き、第3回目は冷茶漬けをご用意しました。

そして、今年は茶席を開きました。

夕顔さんが求める香味を静岡に店を構える茶屋すずわさん が茶を選定し仕上げた茶、『月花蜜』のお披露目となる会。

私は茶屋ではこれで3度目となるお手伝いとして参加しました。

 

 

茶席は梅御殿の2階で行われます。

受付を済ませた参加者が2階へ上がり、長い廊下を進む足音が聞こえてきます。

「お客様が入られます」と夕顔さんに声をかけると

「はい」とご自分の席で手元に目を落とながら短く返事をされた。

ぐっと集中しているのが伝わってきます。

 

 

 

 

 

参加者は部屋に入ると「わぁ…」と見渡して足が進まなくなります。

年を重ねた日本家屋の懐かしさ、畳の香り、窓の外に広がる気持ちの良い庭の緑。

この日だけに用意された特別な茶席で夕顔さんが出迎えます。

 

 

 

 

挨拶を済ませ、月花蜜を淹れます。

この茶席のために11名の作家の茶杯と2名の作家の急須が用意されました。

今回は茶の水色(すいしょく/淹れた茶の色)がわかる色合いで作られました。

中には、今回の『月花蜜』の茶からイメージされてつくられた茶杯もあります。

お盆に載せられた様々な形の茶杯が登場したとき、参加者が驚きと感激で目を見合わせていました。

 

 

一煎目を80度のお湯で淹れます。

急須の蓋を親指で抑えながら両手にそれぞれ急須を持ち、同時に片口へお茶を注ぎます。急須はとても熱くなっているのにすごい。裏にいる私も驚きました。

皆が夕顔さんの手元に集中しています。

お茶がこぽこぽこぽ…と静かに注がれる音だけがします。

片口から茶杯へ注がれ、参加者のもとへ作家名を紹介しながら配られました。

 

 

最初に驚くのは香りでしょう。

口に茶杯を近づけただけで甘い香りがします。

月花蜜の香りはマスカットに例えられることがあるといいます。

少しずつ口に含んでゆっくりと味わい感想を述べ合う参加者。

皆が茶に向き合っている時間です。

 

 

二煎目は、90度〜95度のお湯で淹れます。

蒸らしている時間もお茶のことや、茶杯を作った作家のことなど、会ごとに変わる参加者たちと場の雰囲気に合わせて夕顔さんは話をしていました。

二煎目が注がれると「さっきと色が変わった」とか「香りが変わった」などと参加者たちが感想を言い合います。

月花蜜は日本茶で、中国茶の要素(香り)と日本茶の要素(風味・甘味)を表わしています。

高い温度で淹れることで特に中国茶の要素が引き立ち、香り高い二煎目となります。

 

普段、一煎目と二煎目の違いを味わい、感じながら飲むことはあるだろうか…。

みなさんの感想を聞きながら、そういったことを振り返りました。

 

 

 

 

最後に菓子を頂きます。

初物のメロンをジャムにし、練りこんで作られた『メロンの雁月 青大豆の蜜煮』。

雁月は東北地方で蒸して作られる素朴なお菓子です。

裏方で切れ端を頂きましたが、優しい甘味のお菓子でした。

夕顔さん曰く、料理と菓子を作ることは別物らしいのです。

青大豆の蜜煮は、料理の要素があるけれど菓子である雁月はいつもと違う作業であって難しさを感じているそう。

素人の私にはその違いはわかりませんが、そういうものなのですね…。

 

 

 

 

茶席は、1日に朝の9時半から15時までの4回行われました。

鳥の歌声があちこちから聞こえる朝の会。

時間が経つにつれ、部屋にだんだんと光が入り、やがて庭の緑が色濃く反射し、部屋の中が鮮やかな緑色になっていきます。

(メロンの雁月と青大豆の密煮は、この緑色の光に包まれる部屋をイメージされたそうです)

気持ちの良い風が入り、風鈴の音が耳に心地よい。

 

 

茶席に参加した方から、「会が終わったあとに皆満ち足りた表情をしている」と嬉しい感想を頂きました。

お茶を淹れることは、自然と時間の流れがゆっくりとなります。

お湯の温度を調整し、蒸らす時間をとり、静かに急須を傾けて淹れる。

現代のスピードにすこし疲れたら、お茶を淹れることでいつでも戻れる。

それは、お茶と急須とお湯といつもよりすこし丁寧に淹れさえすればいつでもできることなんですね。

 

 

今回は、新茶時期真っ只中で茶屋すずわさんが残念ながら居られませんでしたが、次回茶席が開かれたときはお二人の並んだところが見てみたいものです。

 

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